熊本のきものお手入れ処 田崎染工です。
日々、和服のお手入れ・メンテナンス業務に携わり、今までに少なくとも累計3万枚以上のお着物を直してまいりました。
一言で「お手入れ」と申しましても、一枚々しみの状態や程度が異なっており、それこそ「十枚十色」です。
地味な職業ですが、皆さまに当店の仕事の中身と技術力を知っていただきたいという願いを込め、現役のしみぬき職人の仕事の舞台裏を写真を交えて綴ってまいります。お着物に関するさまざまなご相談ごとなどお気軽にお問い合わせ・お電話ください。
今日は久しぶりの更新になってしまいました。更新のやり方に手間取りました。
このホームページ上で作業のビフォー&アフター画像を紹介するようになり、
前よりも難易度の高い仕事が極端に増えました。
嬉しいことではありますが、しみぬき作業は私が一人で担当しているので負担も増しました。
今日ご紹介する事例はおそらく二世代前(40年くらい前)のお着物です。
胴裏の劣化具合と柄の感じでおおよその察しがつきます。
最初見た時は「口紅」かな?と思いました。
口紅くらい簡単なシミだと嬉しかったのですが、摩擦に起因する色素の移染でした。
掛衿下部と左胸衿先横です。
掛衿下の見えない領域まで赤い色素がありました。
おそらく一度、衿の入れ替えをされているのだと思います。
ということは、この赤い色素は入れ替え前から移染していた・・・・という推測が濃厚です。
まあこの年代のお着物にはよくある事例です。
赤い色素を抜いていきます。
最後の修整が楽になるように慎重に除去していきます。
少し黄ばんでいますが、経年変化による色ヤケが発生しているからです。
赤い色素はきれいに除去できました。
今回は成功ですが、生地色と付着した色の組み合わせや大きさ、程度によってはできない場合もございます。
今回の参考価格 補正代金込みの8,000円~10,000円ほど(消費税別途)
あくまでも参考料金だとご理解をお願い申し上げます。
※あくまでも当店のしみぬき実績事例の紹介であり、
その他すべての衣料品トラブルの解決をお約束しているわけではございません。
当店では扱えない素材(皮革製品や毛皮など)や生地が弱っている場合などはお断りする場合もございます。
当店に来る前にシミヌキ行為がされてしまった残念なものまで…正直いろいろあります。
DIYで「しみぬき」がしてあると本来ならば直るものが直らなくなってしまいます。
もちろん最初から直せない状態のものもあります。
DIYシミヌキの前にご依頼いただけますと幸いです。
しみぬき、お着物のお手入れ・メンテナンスはぜひ当店にご相談ください。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。