熊本のきものお手入れ処 田崎染工です。
日々、和服のお手入れ・メンテナンス業務に携わり、今までに少なくとも累計3万枚以上のお着物を直してまいりました。
一言で「お手入れ」と申しましても、一枚々しみの状態や程度が異なっており、それこそ「十枚十色」です。
地味な職業ですが、皆さまに当店の仕事の中身と技術力を知っていただきたいという願いを込め、現役のしみぬき職人の仕事の舞台裏を写真を交えて綴ってまいります。お着物に関するさまざまなご相談ごとなどお気軽にお問い合わせ・お電話ください。
今回は時々、ご依頼のある「瞬間接着剤」のシミの事例です。
ポリエステル100%のスカートです。
お客さまからお電話にて「瞬間接着剤は取れますか?」とのお問い合わせをいただきました。
「実際に見てみないと分からないです。あまり期待はしないでください」とお答えしたところ、
片道1時間ほどのご遠方にもかかわらず、はるばるご来店になられました。
お話を聞いてみると、
当店に依頼される前にクリーニング店に数軒お問い合わせされたそうですが、
いずれもお電話口で「瞬間接着剤は取れませんね」と言われたとのことでした。
スカートの裾の折り返し部分と裏の縫い目部分にもびっちり「瞬間接着剤」が多量に付着しています。
生地はパキパキに硬化してしまっていて、今にも「折れてしまいそう」な感触でした。
正直、今まで瞬間接着剤のシミは何回も落としてまいりましたが、
今回の事例は未経験クラスの「大物」です。
┐(’~`;)┌ コリャ・・・オテアゲカモ・・・
しかし、まぁ やってみるもんですね! v(‘-^*)
無事、何とか除去できました。
しかし、今回は素材の面、色柄の面でラッキーだったので除去できたのかもしれません。
他店舗さまで何らかのシミヌキ作業がなされたあとのご依頼ならば成功確率はグンと下がります。
シミヌキは「初期対応」で結果が大きく変わってしまいます。
お客さまご自身によるシミの応急処置は逆効果でしかありません。
だから当店のお客さまには口酸っぱく
「絶対にご自分でシミをいじらないでください」
と日々、お願いと啓蒙をしています。
さて、普段はもっぱら作業中心なので私が接客対応することは滅多にないのですが、
今回はたまたまのタイミングで直接お客さまにお渡しすることができました。
お客さまの喜んでいらっしゃるご様子を目の当たりにすると、こちらまで嬉しくなりますね。
職人冥利に尽きます。
今回のお仕事は内容的にとても収穫のある一枚となりました。
【今回の参考料金 2,000円ほど ※消費税は別途になります】
お着物・お洋服のしみぬき、お着物のお手入れ・メンテナンスはぜひ当店にご相談ください。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。