またまた厄介な子供物。しかもアンサンブル。
ここ数年、古い子供物のご依頼がとても多いです。
はるばる東北某県からのご依頼です。
色んな意味で印象に残る仕事となりました。

加工前の長着です

 

このような黄変がありとあらゆる場所に多発しています。
しかも色が濃いシミ部分は生地が弱っているところもたくさんありました。

 

こちらは加工前の羽織です。

 

袖部分
黄変が無数に発生しています。破れや裂けも所々にありました。

 

どこから手をつけたら良いのか分からないほど無数にありますね。
上下セットなので 正直 気が滅入ります。

 

裏地もこのような状態です。
とにかくあまりにも状態が悪かったです。
上下のアンサンブルということもあり、概算見積もりも大変高額になりました。
当店の今までの経験上、「この見積もり額ならば加工はキャンセルされるだろう」と想像。

破れや裂けの場所もあったので『お客さんには、これは直せませんと電話して』と社員に指示をしました。
(※直せる自信はありましたが、高額なので絶対にキャンセルだろうと踏んでおりました。)

社員とお客さまとの電話のやり取りを横で聞いていると、どうもすんなり引き下がってもらえなさそうな雰囲気・・・・。
加工上のリスクをお伝えし、
何度もお断りしたのですが「孫が気に入ってるので何とかしてもらえないでしょうか?」との事。

結果、当初の上下全体をお直しというオーダーから、下に着用する長着は見える部分のみを直すということで合意。
当初のお見積りよりも作業が減った分、少しは減額できました。

 

袖の丸み部分はハサミで切ってありました。
東北独自の裁断方法なのでしょうか。

 

もともと生地が弱っていた部分がシミヌキの過程で穴が開いた場合は裏から当て布をする方法で対処する
ということにも同意を得ましたので実際の作業進行となりました。

 

シミの部分を繰り返しシミヌキ作業します。
何度も何度も極限まで行います。

出来上り!

 

上下それぞれ
洗い張り⇒シミヌキ⇒裏地の交換&お仕立て直し
をいたしました。

総額は税込み8万円ほどでした。※上下二枚分で大変な労力のいる作業のため
※あくまでも今回の価格です。ここまで厄介なのは年に数件あるかないかです。
このレベルの作業の場合、お急ぎには対応できません。悪しからずご了承をお願いいたします。