熊本のきものお手入れ処 田崎染工です。
日々、和服のお手入れ・メンテナンス業務に携わり、今までに少なくとも累計2万枚以上のお着物を直してまいりました。
一言で「お手入れ」と申しましても、一枚々しみの状態や程度が異なっており、それこそ「十枚十色」です。
地味な職業ですが、皆さまに当店の仕事の中身と技術力を知っていただきたいという願いを込め、現役のしみぬき職人の仕事の舞台裏を写真を交えて綴ってまいります。お着物に関するさまざまなご相談ごとなどお気軽にお問い合わせ・お電話ください。

 

早いものでもう2017年も半分が過ぎようとしています。
当店のホームページもリニューアルしてちょうど一年が経過しました。

仕事の内容を紹介するこのブログ「一衣専心」にも日々アクセスをいただいております。
リニューアル前にはなかった県外にお住いの方や海外にお住いの日本人の方からのご依頼も頂戴いたしました。

インターネットが当たり前の時代とは言え、当店のような地方都市の小さな店を見つけていただき、
さらにはお仕事までいただけるとは本当にありがたく思います。

小さな店ですが今後もお客さまのニーズに応えられるように精進してまいりたいと思います。

さて、タイトルのとおり今日は2017年上半期の「記憶に残る一枚」です。
上の写真をご覧になって、今回フォーカスする場所がどこかわかる方はいらっしゃるでしょうか?(笑)

 

当店がお預かりした時はこのような状態でした。 ヾ(。>д<)シ 
他の専門店にしみぬきに出したところ、逆にこのような見覚えのないヨゴレのようなものが
付着して戻ってきたとのこと。ここも取れるならば取って欲しいとのご依頼でした。
私は一見してすぐに分かりました。 これが何なのかが。

少しずつ除去していきます。
黄変シミがうっすらと確認できますね。しかも穴まで開いてしまっているようです。
※当店で開けた穴ではございません。

これを見た私の見立ては、、、、、、

黄変したシミがあったが、取り切れず
しまいには生地に穴まで開けてしまったのを金彩でごまかした。

です。

ここに人為的な手が加えられた証拠として御所車の下の端をご覧ください。
金彩が剥がれてしまっていますよね。 ヽ(ι´Д`)ノ

ごまかしきれていません、、、、、よね?
しかも穴の部分がやっぱりというか、一番不自然に厚く金が盛ってありました。

 

 

↑当店で黄変シミと金彩を完全に除去した状態。 
 御所車の下の端は最初に金修整を施しました。
 

さてさて、これからどうするか・・・・・。
悩んだ結果、個人的には超苦手な「柄入れ」をするという決断をしました。 

当店の三代目であった私の兄は、そりゃもう身内の贔屓目なしで見ても「柄入れの達人」でした。
兄には遠く及ばないと考えた私は、柄入れせずに極力しみぬきで対処するというタイプの職人になりました。

しかし今回のように生地が損傷している場合には、「柄入れ」が避けられない場合があります。

 

型を彫り、色を挿していきます。

 

最終的に金で縁取りをし完成です。

柄入れ完了後の遠景

 

↑先代からすれば「このヘタクソが」と言われてしまうかもしれません、、、、、。 (・ε・。)

 

【今回の修整参考料金 ????円ほど ※消費税は別途になります】 
 ※金額は忘れてしまいました。

しみぬき、お着物のお手入れ・メンテナンスはぜひ当店にご相談ください。

最後まで読んでいただきましてありがとうございました。