のしめ

熊本のきものお手入れ処 田崎染工です。
日々お着物のお手入れに携わり、今までに少なくとも累計2万枚以上のお着物を直してまいりました。
お手入れと申しましても一枚々しみの状態や程度が異なっており、それこそ「十枚十色」です。
地味な職業ですが、皆さまに当店の仕事の中身と技術力を知っていただきたいという願いを込め、現役のしみぬき職人がお着物のお手入れの舞台裏を写真を交えて綴ってまいります。

 

 

2016年の最後に紹介するのは7月から12月の下半期を振り返って一番印象深い一枚です。
たまたま上半期のBESTと同じく七五三のお参り用の「熨斗目(のしめ)」です。
上の画像で見る限りではシミもなく特別問題がないように見えてしまいます。
しかし近くで見ると、、、、、驚きます。 ( ̄Д ̄;) ガーン

のしめ

のしめ

↑このように数え切れぬほどの黄変があります。しかも濃淡もさまざまです。
納期も1週間ほどしかなく、他にも厄介な品を数点抱えておりましたので最初はお断りしようと思っていました。
しかし、断ろうにも断りにくい事情がありました。
私の姉の同級生からの依頼だったからです。もうどうにかして間に合わせる他ありません。

 

のしめ

↑最初に洗浄をおこないますが、ほとんど変化はありません。

 

のしめ

↑右袖部分の漂白前の状態です。作業効率を優先し袖は身頃から外してあります。

 

のしめ

↑右袖の漂白作業のBefore-After
きれいに漂白できなければきれいな色修整はできません。
納得のいく白度まで白さを追求します。

 

のしめ

↑前身の漂白後

 

のしめ

↑このように前身、後身、両袖の前後と漂白をします。
後の色修整の手間を想像するとかなりの時間がかかりそうです。

 

のしめ

↑漂白したところの一つ一つに筆で色修整をほどこします。
単純作業に見えてますが、各所それぞれ濃淡があるのでとても時間がかかります。
全体で数百か所に修整をおこないました。

 

のしめ

↑前身のBefore-After

 

のしめ

↑全体の修整後

 

のしめ

↑きれいに修復できました。 y(^ー^)y
袖と身頃も縫い直してあります。
この手のシミヌキは得意であり好きで、やりがいを感じます。

【今回の修整参考料金 40,000円ほど ※消費税は別途になります】 

しみぬき、お着物のお手入れはぜひ当店にご相談ください。

最後まで読んでいただきましてありがとうございました。