熊本のきものお手入れ処 田崎染工です。
日々、和服のお手入れ・メンテナンス業務に携わり、今までに少なくとも累計2万枚以上のお着物を直してまいりました。
一言で「お手入れ」と申しましても、一枚々しみの状態や程度が異なっており、それこそ「十枚十色」です。
地味な職業ですが、皆さまに当店の仕事の中身と技術力を知っていただきたいという願いを込め、現役のしみぬき職人の仕事の舞台裏を写真を交えて綴ってまいります。お着物に関するさまざまなご相談ごとなどお気軽にお電話ください。
今日は「紋」に関するお仕事を紹介してみたいと思います。
ところで、皆さんはご自分のお家の「家紋」が何なのかはご存知でいらっしゃいますか?
実は意外と認知率は高くはなくて、当店にも紋のコピーや手書きのイラストで持参される方も多くいらっしゃいます。
でも、その手描きの紋のイラストが実は上下逆さまだったり・・・することもあります。 (^_^;)
日本の「紋」はとても芸術性が高く優れたデザインなのですが、一般的にはあまり深く知られてはいません。
「平安紋鑑」という紋の辞典をめくり、さまざまな紋を知るにつけその秀逸なデザインには正直、感服せずにはいられません。
興味のある方は「平安紋鑑」をクリックしてみてくださいね。
さて上の写真のお着物には、「揚羽蝶=アゲハノチョウ」という紋が刷り込み紋で入っています。
この紋を落とし、新たに「丸に九枚笹=マルニクマイササ」という紋を縫紋で入れるというのが今回のオーダーです。
よくよく見ますと、お着物の金銀箔の柄の上に紋が刷り込んであるのが個人的には少しザンネンな印象です。
私ならばこういう細かいところにも「こだわり」のある仕事をします。(詳しい内容は下の方で後述します。)
↑最初に「刷り込み紋」がきれいに落ちるかテストをします。
右半分を落としてみました。 これくらい落ちれば大丈夫だと思います。
紋だけを落とすのは無理で、金銀箔も一緒に落ちてしまいますが、あとで修整をおこなうので大丈夫です!
↑左右両方を落とし終えたところです。 金銀箔の「跡」が気になりますがこれも最終段階までには修整をします。
↑縫紋で「丸に九枚笹」を入れ終えました。
↑背縫いが済んで出来栄えの最終チェックをしていたのですが、四角で囲った部分のスペースが寂しく感じました。
少し金銀箔を足すことで改善すると思いましたので、やってみました。(ここが、こだわり・・・です)
↑いかがでしょうか?
少しだけこだわってみました。 (^_^;)
【今回の参考料金 10,000円ほど ※消費税は別途になります】
【加工代金の内訳】
紋落とし代=2,000円
縫紋代 =6,000円
背縫い代 =2,000円
金銀箔加工代=サービス
しみぬき・お着物のお手入れ・メンテナンスはぜひ当店にご相談ください。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。