熊本のきものお手入れ処 田崎染工です。
日々、和服のお手入れ・メンテナンス業務に携わり、今までに少なくとも累計2万枚以上のお着物を直してまいりました。
一言で「お手入れ」と申しましても、一枚々しみの状態や程度が異なっており、それこそ「十枚十色」です。
地味な職業ですが、皆さまに当店の仕事の中身と技術力を知っていただきたいという願いを込め、現役のしみぬき職人の仕事の舞台裏を写真を交えて綴ってまいります。お着物に関するさまざまなご相談ごとなどお気軽にお電話ください。

墨汁のしみ 取れにくいしみの代表格

墨汁のしみ 取れにくいしみの代表格

墨汁のしみぬき

 

今回は墨汁のしみの事例です。
墨汁はとにかく取れにくいしみの代表格です。
繊維の奥深くにまで入り込んでしまっているので
かなり強い水圧で処置する必要があります。
つまり生地が傷んでしまうリスクも非常に高くなります。

➀墨汁のしみの大きさ
②付着した繊維の種類
③何色の繊維に付着してしまったのか
④すでに墨汁のシミに何らかの処置がなされてしまっているか

上記の諸条件により取れる取れないがほぼ決まってしまいます。

特にお着物の場合は素材が「絹」であるため、色物の場合は特に除去が困難です。
取れたらラッキー・・・という程度です。

 

↑付着している墨汁のシミの長さは数ミリから3センチほどで大小さまざまです。
 矢印で指しているのは2ミリほどの極めて小さい墨汁です。たとえ極小でも墨汁を落とすのは非常に困難です。

 

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↑衽(おくみ)部分の2箇所を除去しました

 

 

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↑残りの上前部分の墨汁も無事に除去できました。

 

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↑別の角度から。
インターネット上には「マジックリンできれいに落ちた!」などさまざまな情報がございますが
お着物を台無しにしてしまう恐れがございますので、ご自分での処置はされない方が賢明です。
生地の表面が擦れてしまうと修整はできません。
今回はラッキーな事例でした。

【今回の墨汁のシミヌキの参考料金 5,000円 ※消費税別】 

 

 

 

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↑別のお着物ですが、同じく墨汁のしみです。

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熊本でしみぬき、お着物のお手入れなら当店にご相談ください。