熊本のきものお手入れ処 田崎染工です。
日々、和服のお手入れ・メンテナンス業務に携わり、今までに少なくとも累計2万枚以上のお着物を直してまいりました。
一言で「お手入れ」と申しましても、一枚々しみの状態や程度が異なっており、それこそ「十枚十色」です。
地味な職業ですが、皆さまに当店の仕事の中身と技術力を知っていただきたいという願いを込め、現役のしみぬき職人の仕事の舞台裏を写真を交えて綴ってまいります。お着物に関するさまざまなご相談ごとなどお気軽にお電話ください。
きょうは紋入れ加工の中で「貼り付け紋」の事例を紹介いたします。
「貼り付け紋」とは文字通り 紋入れをした生地をお着物に貼り付ける加工法です。
紋の白場のよごれ修整や入れ替えをご検討の場合に生地が弱っていて加工が困難なときは
この「貼り付け紋」で対処することができます。
今回は紋の修整のご依頼ですが、もともと「貼り付け紋」がされていました。
紋が経年変化でかすれてしまい、白い部分も変色してしまっています。
今回は同様に新しい「貼り付け紋」を貼り直します。
↑背紋の拡大画像です このお着物はもともと「貼り付け紋」が貼ってあります。
今回は同じ「丸に違い鷹の羽」の紋を全部で五か所に貼り付けます。
↑古い貼り付け紋を剥いでいきます。
↑糊の成分をうすめながら作業をします。
古いお着物の場合は生地が裂けたりしないように慎重におこないます。
↑ 五つともそれぞれ白場が変色してしまっているのが確認できると思います。
「白さ」の違いもまちまちなので、五つともすべて交換します。
今回は背紋の変色が著しかったです。
↑新しく紋を入れて貼り直した「背紋」です。
↑ Before→After
【貼り付け紋のメリット】
①貼り直すだけなので紋の入れ替えなどの自由度が高い
②生地が弱っている場合でも加工が可能 ※生地の傷み具合にもよります
③本格的な「紋入れ替え」よりも比較的安価で加工できる
【貼り付け紋のデメリット】
①見た目の問題
②クリーニングなどで剥がれる場合がある
【今回の参考料金 10,000円 ※消費税別】
※「平安紋鑑」などに記載のない特殊紋の場合は、別途で特殊紋型代金 3,000円(税別)を頂戴いたします。