タイトル通り、2017年の下半期の記憶に残る一枚なのですが
私の20年以上にわたる職人生活の中でも、ベスト5にランクインするほど手間のかかった仕事でした。
今回のような寒色系の色にこのような黄変が多発した場合、シミヌキをしてもあまり芳しい結果にはいたりません。
それほど寒色系(ブルー系)のシミヌキは難しいです。
無理をすれば直らないこともないのですが・・・手間がかかる分、工賃も高くなります。
たいがいのお客さまにお見積りを伝えると「そこまでは予算がたりません」となることが多いのです。
しかし今回は「高くなっても良いので、直るだけ直してください」とのご依頼をいただきました。
花の柄のアップ
残念なことに「胡粉=白い絵の具」を塗り、シミを隠した痕跡があります。
このような処置が、ほぼすべての花びら部分に施してありました。
シミヌキではなく、ただの「シミ隠し」です。
こうした上辺だけの処置では、その時はきれいに直ったように見えますが
シミの根っ子は除去されてはいないので、必ず再発します。
私はこの仕事をした職人さんが、当時ちゃんとした仕事をしていれば
ここまで重症化はしなかったと思います。
まず袖部分の黄変をすべて抜きました。
これから一つずつ染料で修整が必要です。
左半分を修整し終えたところです・
とても時間がかかります。
ようやく袖の修整が終わりました。
身頃部分
袖以上にたくさんの地直し(染料を用いた修整)が必要です。
一つずつ修整をしているところです。
身頃の修整後
お着物、一反まるまるこのような修整が必要なほど重症でした。
お仕立直し後の画像
今回は
洗い張り+シミヌキ+お仕立て直し(必要な裏地類も当店で新品をご用意しました)のフルコースでした。
「捨ててしまおうと考えていたのに、きれいに蘇ってうれしいです」とお客さまもとても喜ばれていました
【今回の参考料金 お仕立直しまでの総額で10万円ほど ※消費税は別途になります】
※あくまでも当店のしみぬき実績事例の紹介であり、
その他すべての衣料品トラブルの解決をお約束しているわけではございません。
素材的・生地の状態的にまったく手を加えることができないもの、
当店に来るまでに散々シミヌキ行為がされてしまった無残なもの・・・・正直いろいろございます...。
しみぬき、お着物のお手入れ・メンテナンスはぜひ当店にご相談ください。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。